Left After the Credit: 思惟のフィルムノート

アート系・インディペンデント系の海外映画を中心に、新旧問わず感想や考察を綴っています。

ブラディ・コーベット監督のシークレット・オブ・モンスターとポップスターの感想書き散らし

シークレット・オブ・モンスター 


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ブルータリスト鑑賞を機にブラディ・コーベットの過去作を鑑賞した。こちらも映像としてのルックがかなり良い。町山さんがブルータリストの解説でも言っていたことだが、監督自身も何か親子の関係や幼少期にトラウマがあるのではないかと思う描写が多かった。(この作品が彼の個人的なものと捉える必要はないとも思うし邪推かもしれないが、初長編とのことで何か特別な思いはあるだろう)特に興味深かったのは母親のキャラクターだ。女は子供を産んだだけで自動的に「母親」になれるわけではない。そもそも主人公の母親はこの結婚も望んだものではなかったのだろう。旦那がもう一人子供が欲しいと妻に迫るがはっきりと断る描写が個人的によかった。このあたりのジェンダー感覚は非常に繊細で好感が持てる。

 

ポップスター


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これは良くない。コーベットはストーリーテリングに興味がないことは3作品見てよくわかったが、これは特に感情移入できない物語/主人公だった。トラウマを抱えつつも一発屋的にヒットし、しかし今は落ちぶれてスキャンダラスなポップスターというキャラクターにナタリー・ポートマンという完璧人間をキャスティングしたのがまず失敗だと思う。大衆文化のビジネスが生み出す暴力性というテーマはわからなくもないが、ラストのコンサートシーンもめちゃくちゃダサくて共感性羞恥が刺激された。しかも今回は映像もパッとしない。(現代のアメリカが舞台だからだと思うが)

 

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