Left After the Credit: 思惟のフィルムノート

アート系・インディペンデント系の海外映画を中心に、新旧問わず感想や考察を綴っています。

侍タイムスリッパー / ザ・ウォッチャーズ / ドント・ウォーリー・ダーリンなどの感想書き散らし

2025/4/14~2025/4/20

 

ザ・ウォッチャーズ 


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※下記ネタバレを含みます。
シャマランの娘による初長編監督作。思ったよりもウェルメイド感と"シャマラン味"があって、個人的には今後に期待が持てる。ファンタジーはあまり得意なジャンルではないし、妖精がどうのこうのっていうのは興味無いのだが、伏線の張り方や映像の美しさが際立っていて好きだった。ダコタ・ファニングがだるそうなのも好き。主人公が過去のトラウマや、双子の姉との関係を通して自分自身と向き合っていく話。姉妹がいることは序盤で明かされるのだが、それが双子というのはラストにわかるという展開は上手い。ウォッチャーに自分を見せるためにマジックミラーを見つめる主人公は、つまり、双子を、自分を、ウォッチしていたということになるから。二世監督という意味で第二のソフィア・コッポラなるか。というかもう私より年下の映画監督の作品が劇場公開されているのが怖いよ~。

 

ノック 週末の訪問社


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これは公開当時もあまり良い話を聞かなかったのでスルーしていたのだが、やはりはっきり良くなかった。信仰心の無いゲイのカップルに「神の啓示だから」という理由で「つべこべ言わずにどっちかが死ね!」って言う話はさすがにちょっと酷すぎないか…。なんでこんな話を、映画を、作ろうなんて思うんですか?信じられない。こんなことがまかり通るくらいなら別に世界が終わった方がマシだと思います。

 

ベネデッタ


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最後までベネデッタの言動がバルトロメアへの思い以外は演技だったのか、幻想を本気で信じているのか、それとも神を信じているがゆえの“本気”なのか分からない、という曖昧さが良かった。
崇拝と愛ってとても近しいもので、だからこそ「同性愛者の自分は神を愛していないことになるのでは?」という葛藤が描かれているように思えた。(のですが合ってますか?)ヴァーホーベンは完全に未履修だったので、今後しっかり勉強していきたい。

 

ドント・ウォーリー・ダーリン


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映画外のスキャンダルで不必要に話題になってしまった本作だけど、内容的には「他人から与えられた幸福」よりも「自分で選んだ不幸」の方がいい、という話で結構好きでしたね。ただ、ラストの種明かしのあとの話の収束が唐突で、そのあたりがちょっと気になった。
「1950年代の“良きアメリカ”は、本当に誰にとっても“良きアメリカ”だったのか?」という問いかけは印象的。主人公が一方的な被害者というわけではないのもハリー・スタイルズにとってフェアな設定で良かったと思う。あとどうでもいいけど、フローレンス・ピューが終始サブリナ・カーペンターに見えた。ブラック・ミラー好きにはおすすめ。

 

侍タイムスリッパー


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熱量で押し切った、まさに“熱さ勝ち”の一本。これに作品賞を与えただけで、日本アカデミー賞は意味があると言える。映画って、多少ルックに粗があったり、脚本が完璧でなかったり、低予算だったりしても、それを作っている人の「本気の思い」がスクリーンからあふれ出てくることがあって、それが奇跡みたいに観客に届く瞬間がある。この作品はまさにそう。
時代劇としての魅力もありつつもその枠だけで留まらずに、時代劇が描くその時代を生きた名もなき人の人生への賛歌の物語になっている。それを一人の無名の人間が自主制作でここまで形にしたことに、ただただ感動した。映画を作るのって、本当に大変なんですよ。

 

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